買い付けでは現地の人に聞く!というバイヤーの極意(というほどでもないですが)より良いものを発掘する方法ご紹介しました。
先月の買い付けで、まさにそんな風に出会ったものがあります。
友人の息子さんの自宅にお呼ばれされた際、私がデンマークのヴンテージやアンティークを扱っていると知り、「僕のコレクションも見せてあげるよ」といくつか見せてもらいました。
これはどこどこのフリーマーケットで買ったとか、知らなかっやブランドを教えてもらい、「これ記念にあげるよ」といただいたのがこちらの花瓶
ぷっくりしたフォルムが可愛らしいホルムガードというガラスメーカーの一輪差しでした。デンマークの家庭では出窓のところによくガラスの花瓶がちょこんと置いてあります。
カーテンのない大きな窓のお家が多いので、春夏には光を通してとても綺麗だからかもしれません。さすが、光にこだわるデンマーク人ならではです。
亡き夫の未練を果たした王室御用達ガラスブランド
ホルムガードのもらった花瓶がとっても可愛かったので、少し調べてみました。
ホルムガードとは、デンマークの地名で、コペンハーゲンから南西に70キロ、車で1時間ほどの田舎です。
近くにはNestved市があり、こちらはコペンハーゲンのベッドタウンとして商業都市として栄えています。私は行ったことがないのですが、入江や小さな島々にはお城や邸宅があり綺麗なところのようです。
12世紀に修道士が農民にレンガ造りを教えるため、ここホルムゴードという沼地・湿地帯にやってきました。それまで農業や漁業が中心の貧しい国だったデンマークにとって、レンガ造りに必要な泥や、火を燃やす泥炭がとれるホルムガードのような地は、初期のデンマーク工業においてとても重要だったそう。
その300年後にこの辺の農場を集めて現在も残るホルムガードゴッド(Holmgård Gods)という大きな建築物が建てられます。
15世紀にこの地を買収したサムスー伯爵(Danneskiold Samsøe)は、ここの湿地を生かしてガラス工業を設立したいと王に許しを請いますが、許可されることなく亡くなります。
夫の死後、サムスー伯爵夫人が亡き夫の未練を果たし、許可を経て設立したのがガラスブランドのホルムガード。
これが伯爵夫人だそう。 Holmgaard
さすが、女性の社会進出が進んだデンマーク。
1825年設立以来、デンマーク王室御用達ブランドとして、今でも多くの花瓶やグラスを生産しています。
今回入荷した小さな一輪ざしは1960年代のヴィンテージ。
少し分厚めのぷっくりしたフォルムと、淡いブルーの色合いがとても可愛らしい一品です。
光を取り込み、季節や入れるものによっていろんな表情を楽しめます。ぜひオンラインショップでも見てみてください♪