デンマークの友人が昨日Facebookでつぶやきました。
「家族何世代に渡って親しんできたイヤマ。閉店するなんて悲しい…」
イヤマが閉店…
えーーーーーー!!
思わず食器をひっくり返しそうになりました。
イヤマと言えば、青いドレスを着た女の子イヤマちゃんがトレードマークのデンマークの老舗スーパーマーケット。それがデンマークからなくなる日がくるなんて、考えたこともありませんでした!
その歴史は137年と長く、生活協同組合が運営するスーパーマーケットとして、地域社会に根付く質の良い食材を提供するスーパーとして貢献してきたようです。
イヤマの食材はオーガニック・エコで質が良いだけでなく、店内もブルーで統一され落ち着いていてセンスも良く、可愛いイヤマちゃんのマークが入った食材やグッズがたくさん。
少し高いけど行くだけでワクワクする、そんな大好きなスーパーでした。
新鮮な新しい食材を試して見たり、友人と夕飯のお買い物に行ったり、日本のお土産を買ったり。滞在には欠かすことのできないスーパーであり、身近なエンターテイメントでもありました。
デンマークにはスーパーのチェーンがいくつかありますが、友人たちと
「どのスーパーが好き?」
「私はイヤマ!」
「私もー!」
という会話を何度したことか。友人の娘のロザちゃんは、自慢げにイヤマちゃんの青い自転車に乗っていました。
なのになのに!
なんで?
イヤマは今年4月を持って閉店するとのこと。コープが運営する3つのスーパチェーン・Kvickly、Superbrugsen、Irma (イヤマ)は全て「Coop」という名前で統合されることになったそうです。
現在あるイヤマ 65 店舗のうち、約 9 店舗が Coop の名前になり、28 店舗が 365discountというスーパー になり、11 店舗が Brugsen になるそう。
この365discountというスーパーは、安めの食材を扱うチェーンで、昨年夏にコペンハーゲンに行った時に、急に増えたなと思って歩いていたのを覚えています。
深いブルー(ちなみに当店Imayaのロゴのブルーはイヤマのブルーを真似ました笑)で落ち着いたブルーのイヤマとは違い、明るく目を引くグリーンの365。なんだかコンビニエンスストアのようで、落ち着いたコペンハーゲンの街並みにはやっぱりイヤマだよな!と思った記憶があります。
イヤマの商品は、それらの別の名前のスーパーで販売されるそうですが、可愛いイヤマの青い看板はもう見られないことになります。
でも、なんたって舞台は民主主義の国デンマーク。
期待を込めてS N Sを調べると、やはり多くの人が発表から数時間で反応していました。
イヤマのインスタグラムには数時間で数千件のコメントが寄せられおり、
「イヤマがなくなるなんて悲しい」
「私たちは生活協同組合の会員。イヤマは会員によって所有されるわけだから、異議申し立てをしよう」
との意見が多数ありました。
Faceboookにもすぐに「イヤマを保護しよう!」というグループが作られ、各地で集会の予定も組まれているそう。
コープの再編は、原油価格や物価の高騰により、昨年は他よりも高級な価格帯を求める客層が減り、経営が悪化したことによるもの。
商売である以上、イヤマが好き!というだけで存続させることはできませんが、イヤマは普通のスーパーとは違い、生活協働組合(コープ)だということがポイントです。
安全で質の良い食品を得ることは、市民の生活の質に欠かせない権利。
なんとかイヤマを存続させようとする動きもあるようで、がんばれ〜!とエールの気持ちでいっぱいです。
Facebookの「イヤマを守ろう」というグループに、たくさんの人が各々の思いを投稿しているのが印象的でした。長い間、デンマーク人の台所を支え、愛されてきたんだなと感じます。
ある方が載せていた声明が印象的でした。
イヤマが閉店するニュースが発表された数時間以内に、このグループでも数千人の人々が非常に激しく反応したことは、イヤマが多くの人々にとって特別な場所であることを証明しています。これはとてもユニークなことで、通常はどんなチェーン店が閉鎖しようとも、こんなに眉を上げて反応することはないでしょう。
そうです。イヤマは非常に特別で、単なるスーパーマーケットではないのです。
イヤマは文化的であり、良識と従順さを備えた食料品店でした。
原材料への愛、サポートと理解、そして心と魂を込めて仕事をしている小さな生産者への愛がありました。
オーガニックでおいしい品質の製品を扱う本物の食料品店をどれだけの人々が切望し、探しているかは明らかです。多くの人々にとって食べ物は人生において欠かせない重要なものであるという事実を元に、意識的に選択し、優先する。それがイヤマという場所でした。
純粋な品質の原材料を求めること
心を込めた小さな生産者を求めること
植物由来の食品を求めること
動物福祉を求めること
優れたサービスを求めること
そのすべてが イヤマです。
イヤマを閉鎖することは、別の深刻な脆さに繋がり、大切なものが消滅しつつあるこの世界。
イヤマは昔ながらの安定した食料品店で、私たちはその場所を、スタッフを、製品をよく知っており、そのすべてに貴重な落ち着きがあります。
清潔な店舗に礼儀正しく、有能な従業員というイヤマのDNA のすべてを皆に気に入っていただけると思います。
一緒に「イヤマ」を守り、復活させましょう。なぜなら、彼女は重要な存在だからです。
おそらく多くの人が思っている以上に重要な存在だからです。
この夏、イヤマちゃんに会えないなんて、寂しすぎるImayaでした。
ちなみにImayaとイヤマってロゴのブルーだけでなく、名前も似てます。
Imayaの屋号は、うちの母のアンティークのお店「藍夢」(アイム)を英語表記にする時にI'mとしていたので、その Imに 私の名前を足してみたところ、
Im +aya = Imaya になり、「なんかいいじゃん!イヤマにも似てるし!」とデンマークに住んでいる時に数分で決定した屋号です。
だから、Irmaがなくなるなんて、勝手に片腕がなくなるような寂しさ。
この夏デンマークに行ったら、なんとかイヤマちゃんに巡り会いたいものです。。